ヨーロッパの貴婦人達、必要以上に締め付けたコルセットで社交界などに出ていた為、
失神して倒れるなどという事が多々あったようです。
そんな時このような贅沢に装飾されたヴィネグレットに匂いのキツイ気付け薬を浸み込ませ、
それを嗅ぐことで意識を取戻したりしていました。
予防的に自分で取り出す事もあったでしょうが、意識を失くしてからはそうはいきません。
殿方や周りの者達に委ねる事もあったでしょうから、それはやはり高貴な自分を表すために
豪華に、贅沢なモノでなくてはいけなかったのです。
宝飾品やオペラグラスなど、身に着けている者には身分相応の最高級の豪華さが必要だったのですね。

その分、現存するモノも少なく、装飾の素晴らしさもあり西洋では常に高値で取引されています。

こちらは純銀製で、細部にわたり素晴らしい彫細工が施された
ジョージアン期、1817年バーミンガム製のシルバーヴィネグレット。

本来の用途はまず無いでしょうから、フランスなどでは香水を浸み込ませ持ち運ぶ事も多いようです。
掌に収まる200年前の贅を尽くした芸術品。遠い過去の持ち主に思いを馳せて・・・


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サイズ：3.9×2.4ｃｍ